いらっしゃいませ!
突然ですが、皆さんに質問です。
最近「わがまま」言っていますか?
「わがままな人」というと、
自分勝手、主張が強すぎる、相手の立場に立って考えられない、感情をコントロールできない・・・など、
自分の欲望を他人に押し付ける人というイメージがあります。
『わがままな人とは、できれば一緒に仕事をしたくない』と思う方がほとんどではないでしょうか。
先日出版された『「わがまま」がチームを強くする。』
やや衝撃的なタイトルの本書には、職場でのわがままは「楽しく働くためのヒント」であり、
「社会を変えるかもしれないアイデア」だと書かれています。
「楽しく働く」を応援するサイボウズ商店としては、見逃せない解釈です。
さっそく、その意図をチームワーク総研シニアコンサルタントの松川隆にインタビューしてきました。
※ チームワーク総研とは
サイボウズがこれまで蓄積してきた人事制度やメソッドを、「研修」という形でご提供する組織です。
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オンラインインタビュー、開始!
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「わがまま」は楽しく働く第一歩
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本日はよろしくお願いします!
チームワーク総研の松川です。よろしくお願いします。
さっそく本題に入りますが、楽しく働くためのわがままとは、どんなものでしょうか?
わがまま、つまり「こうしたい」という欲望や理想は、
1人ひとりのこだわりの証であり、変革へのきっかけだと思っています。
とてもポジティブですね……!わがままで変革が起こったことはありますか?
こんな本を出版しておきながら言いづらいのですが、私自身はわがままを言うのが苦手なんです。
学生時代の部活も、社会人になってからも、「組織のために働きます!」というマインドで育ってますから、
「あなたの希望を」って言われても、なかなか出てこない。
人事部にいたころ、社内のメンバーには「100人100通りの働き方を!」って旗振りしているのに、
自分は9時から18時、毎日出社して残業もする、という感じでした。
確かに人事部って「最後の砦」のようなイメージがありますね。
そうそう。忠誠心が旺盛なんですよ(笑)。
転機は、全社的に100人100通りの働き方が浸透しつつあった中、
最後の砦だと思っていた人事のメンバーがわがままを言ってそれぞれに合った働き方にどんどん変えていったことです。
その姿を見て、9時という始業時刻を変えることに抵抗を感じている自分に気付きました。
電車遅延で毎日少しずつ遅刻してしまうのにも関わらず、です。
ご自身の働く時間を宣言するまでに、そんな葛藤があったとは知りませんでした。
わがまま、つまり自分の希望は、会社での存在感が大きい人とか、役職がついている人が言うもの、と思いがちです。
私もそうでした。だから自分はわがまま言わず、だまって従うものだと思い込んでいました。
ところが、チームメンバーを見習い始業時間を10時に変更するとわがままを言ってみたら、
家族のタイムスケジュールにも合うし、電車遅延の影響も少なくなったし、良いことづくめでした。
1日のスタートが楽しくなったんです。
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わがままを言うコツ
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サイボウズがわがままを言いやすい環境なのはありがたいですね。
わがままを受け入れる側の体制が整っていないと希望は言いづらいですよね。
年齢が若かったり、入社して日が浅かったりする場合はなおさらです。
サイボウズがわがままを言いやすい環境だとしたら、理由は2つあると思います。
1つは風土として心理的な安全が確保されていること。
もう1つは炎上しない言葉遣いやメッセージ発信の仕方など、コミュニケーションスキルがトレーニングされていることです。
自分のいる環境ではわがままが聞き入れられるわけない、という方に向けてアドバイスはありますか?
もしも皆さんが働いている会社で、いわゆる”声の大きい人””偉い人””イケてる人”の発言やわがままばかりが通りやすいとしたら、
裏を返すとそれ以外のメンバーが質問責任を果たせていない、とも捉えられるかもしれません。
カギは「オープンな場」で議論することと、「質問責任」「説明責任」を果たすことです。
色々なエピソードを思い出しながら話しています
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「命令」から「共感」へ
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オープンな場、質問責任、説明責任が揃うと、わがままが出しやすくなるということでしょうか。
誰もがわがままを言える環境にするには、その3つが不可欠だと思います。
例えば、私が数年前に新入社員研修の担当者をしていた時の例です。
入社してすぐの研修期間中、「今は研修に集中して、他のことはやらないで欲しい」と
私が意見を書き込んだことを発端に議論が起こりました。
私の書き込みに対して「休憩時間の使い方を制限して良いのか?」という質問の声が社内の第三者から上がり、大きな議論になりました。
当時サイボウズに転職したばかりの私には、「研修担当者が新人に喝を入れた」という感じに映りました。
実を言うと、あまり違和感がなかったんです。
それよりも、松川さんの意見や、それに対する質問や説明がオープンな場所に書き込まれ、その場で議論が進む展開に驚きました。
"偉い人"側にいる研修担当者の意見が通りやすいということは全くなくて、
研修担当者、新入社員、その他の社員、それぞれが質問責任と説明責任を果たしあうコミュニケーションをしていましたね。
あの議論から学んだのは、「命令のコミュニケーション」は楽しくないということです。
「こういう心構えで研修に臨んでほしい」という研修担当者のわがままと、
「これがやりたい」という新入社員のわがままが存在しているというだけで、
どちらが正しいとか、間違っているとかではないんだなと。
言い合いとか勝ち負けとか賞罰とか、最近流行りの出向とか土下座とか(笑)、そういう話ではありません。
「あなたの考えのこの部分が分からないので説明してもらえますか?」
「なるほど、この部分は共感できないけれど、そういった解釈があることを知りました。」など、
「共感のコミュニケーション」を重ねていくと学びを得られるので、こちらの方が単純に楽しいです。
そのわがままは理念に沿っているか?そのわがままは理想の姿に向かっているか?というところがポイントです。
もちろんチームの約束事を守ることは前提ですけどね。
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「共感のコミュニケーション」は楽しい
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日常生活を考えれば、命令よりも共感の方が楽しいことは明白ですよね。
仕事もそれでいいんだ、というのは新しい気付きです。
仕事になると眉間にしわがよって、我慢せねば!というマインドになってしまう人も多いでしょう。
歯を食いしばって耐えている時に感じるのは、一種の”快楽”かもしれないと思いました。
快楽は、その瞬間は酔いしれているけれど、長続きしない。一方で楽しさは長く持続します。
限りある人生の中で、楽しめない時間があるって、幸せですか?わがまま言って、楽しく働きましょうよ。
と、色々な会社に研修を通してお伝えしています。
なんだかワクワクしてきました!まず、何から始めたらいいでしょうか。
まずは自分のわがままを見つけることでしょうか。
そしてぜひ、チームで”わがまま”について話し合うことに挑戦してみてもらいたいなと思います。
サイボウズ商店も「楽しく働く」を応援するチームとして、
それぞれのわがままに向き合っていきたいと思います。
熱く語っていただきました!
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皆さんが職場でわがままを言うとしたら、何と言いたいですか?
隣に座っているチームメンバーは、どんなわがままを心の中に抱いているでしょうか?
「仕事だから」と蓋をしてしまいがちな感情に向き合うことが、
自分も周りも楽しく働くきっかけになるかもしれないと感じたインタビューでした。
書籍『「わがまま」がチームを強くする』の中では、
「組織を強くするわがままとは?」
「わがままを整理するには?」
「わがままを組織作りに活かすには?」
など、わがままについてさらに細かく書かれています。
1人ひとりが楽しく働く組織を作るために、
「会社で何か始めてみよう」と考えている方の後押しとなる1冊です。
本書に興味を持ってくださった方は、ぜひ商品ページもご覧ください。
▼「わがまま」がチームを強くする。
チームの"わがまま"を可視化するカードゲームもございます。
▼ わがままカード
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました!